ハイジの原点に還った映画を作ろう!
スイスのプロデューサーのルーカス・ホビがハイジの映画を企画したきっかけは、原作との出会いだった。改めてそこに流れる精神に感銘を受けたのだ。「僕らが目指したのは、ヨハンナ・シュピリが望むであろうやり方で、現代版の映画を撮ることだった」。
共同製作者としてドイツから参加したウリ・プッツも、「長く愛され古典として受け継がれるような映画を作りたいと考えた」と語る。「“ハイジ”ほど何世代にも渡って受け継がれ、世界中で知られた物語は滅多にない。この小説は、家、友情、家族、愛、そして若者の独立について描いている。こういったテーマは、すべて100年前から現在でも意味のあるものだ」と説明する。
ハイジに特別な思い入れのある監督を起用
製作チームは、『リトル・ゴースト オバケの時計とフクロウ城の秘密』でもタッグを組んだアラン・グスポーナーを監督に起用する。物語を大切にする繊細な監督として定評があり、見事生き生きとしたハイジを描き出すことに成功した。グスポーナーはスイス生まれで「ハイジ」には特別な思い入れがあった。また日本製アニメ「アルプスの少女ハイジ」を子どもの頃に観て育っていた。スイス最大の文化資産で、世界中が興味を持つ「ハイジ」はグスポーナーにとって特別な挑戦になった。
運命のように、
あっという間に見つかったハイジ
主役のハイジを演じる少女を探すことはとても重要だった。製作チームは「人々の心をつかむことができる少女でなくてはならなかった」と振り返る。アヌーク・シュテフェンと出会ったのは、オーディションを始めてすぐのことだった。「500人の候補と会ったけれど、結局、彼女を超える少女はいなかった」
アルムおんじ役のブルーノ・ガンツも、アヌークの才能を保証する。「彼女は特別な女の子だ。機敏で賢く、話し好きで、感受性も豊か。そして演技が終われば、すぐに普通の9歳の子供に戻る。それがとても興味深かったよ」
アヌーク本人は、ハイジについてこう語っている。「ハイジは陽気な女の子で、どんな人でもありのままに受け止めるの。自由を愛しているし、必要なものはすべて山にあることも知っているのよ」
名優ブルーノ・ガンツもハイジが大好きだった!
製作チームはスイスの名優ブルーノ・ガンツをアルムおんじ役に起用した経緯を「勇気を出して彼に脚本を送ると、驚いたことにすぐに引き受けると返事をもらったんだ。そのうち、スイスでおんじと言えば、ブルーノ・ガンツのことを思い出すようになるだろうね」と語る。
ガンツはオファーを受けたのは、「ハイジは国民的な物語だからね」と語る。
おんじ役を演じるにあたって、ヤギの乳搾りや昔ながらの丸太割り、大きな鎌での急斜面の草刈りなどを練習した。
19世紀のスイスを再現したロケ撮影
スイスでのロケハンのキーポイントは、アルプスの山小屋を見つけることだった。サルガンス地方にあるビュンドナー・アルプスまたはバート・ラガーツ近郊あたりの場所をロケハン隊はかなりの数を見て回ることになった。また1952/55年版の映画のロケ地として使われた小さな村ラッチも、当時の面影を残していたので採用された。スクリーンに映し出されるすべてが、19世紀の物であることに細心の注意が払われ、観客がその当時のスイスの山々を旅行しているような気分を味わえるように、20世紀以降に作られた物はすべて取り除かれた。